月兎の耳

 

月兎の耳
 
 
 
 
 
「うどんげ例の件失敗したようね,,,,,,,,,,,,」
 
師匠は私を見て怖い笑顔を浮かべている。
私はそれを見て何時も逃げ出したくなる程だ。
例の件とは薬のことで私が新しい交渉先に交渉しに行ったら断られてしまった。
師匠がせっかく新しい交渉先を見つけてきたのに私はそれを棒に振ってしまったのだ。
 
「当然だけど!お仕置きよ,,,,,,,,,」
 
私はその言葉に一歩下がる。
師匠のお仕置きはとても厳しく、少しの間寝込んでしまう程だ。
私が恐怖で目を瞑ると。
 
「でも何時もの奴じゃつまらないわね、今回はこうしようかしら」
 
すぐ目を開けると
その刹那私の頭に手を伸ばす、私はまた瞬発的に目を瞑ると。
痛みも特に感じない。
私は恐る恐る目を開けて見ると、師匠は衝撃的な物を持っていた
 
「わ、私の耳が,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,」
 
とは言っても頭に付いている一応取り外し可能なウサ耳だ。
師匠のお仕置きは今日一日耳を没収するお仕置きらしい。
何時もより遥かに優しいとは言え、私は自分の大きな特徴を奪われてガッカリしていた。
 
私はそのまま師匠の部屋を出て自分の部屋に戻ろうとすると
てゐと鉢合わせになった。
よりによって一番会いたくない人物だった。
 
「鈴仙どうしたのって,,,,,,,,あははははははははは!!」
 
案の定私の姿を見て笑い出した。
 
「何それイメージチェンジ,,,,,,あははははは!」
 
私は半分話が通じなさそうなてゐに理由を話した。
相変わらずそれを聞いても笑っていたが私はもう気にする気になれなかった。
 
「あのウサ耳は私のシンボルみたいなものなのに」
 
「今の時代動物の耳付けて萌え~なんてあざと過ぎるんじゃないの」
 
「何の話よ!じゃあてゐはどうなのよ!」
 
「私は付け耳じゃなくて本物のウサ耳だもん!」
 
と口論をしていると、廊下から姫様が来て
 
「てゐ何口論しているの、あらそちらはお客様!」
 
私を見てどうやらお客様と思ったらしい。
それにしてもウサ耳のないだけでこんなに皆に笑われたり態度を変えられるなんて
ある意味今回の師匠のお仕置きの辛さを思い知った。
 
「えっと私は鈴仙ですけど、姫様」
 
と言い出すと姫様は笑い出した。
 
「冗談が上手い人ね、鈴仙は白いウサ耳しているのよ貴方は持ってないじゃない」
 
「だから師匠に没収されて,,,,,,,,,,,,,『お客様今お茶を淹れて着ます』」
 
と言っててゐはこの状況に便乗して悪ノリを始めた。
それにしてもウサ耳がないだけで私を鈴仙って分からないなんて
私の特徴はウサ耳だけなのだろうか。
 
結局不毛なお客様ごっこもてゐに飽きられて終わり、
姫様は本当にお客様が来たと勘違いしている始末。
今日も終わろうとしていた。
 
「どうだったウサ耳のない1日は?」
 
私は暗い声で最悪と答える。
そういうと私にウサ耳付けてくれた。
 
「さて次の機会にはどういうお仕置きにしましょうかしらね」
 
そういって考え込みたまににやけ面をする師匠を見ると私はゾクゾクしてくる。
 
「あまりの嬉しさに?」
 
「怖くてですよ、てか人の心を読まないでください」
 
こうして無駄な一日は更けていった。