氷の妖精の暇つぶし

 

氷の妖精の暇つぶし
 
 
「それ!」
 
その言葉と同時に緑色の蛙は物言わぬ、氷の塊となった。
その途端にあたいは少し微笑む。
次に私の横にを飛び跳ねる蛙を一瞬で凍らせて見せる。
恐らくその行為は暇つぶしでしかないのだろうが、あたいはとにかく楽しんでいた。
 
「,,,,,,チルノちゃん、また蛙を凍らせてるの?
 ,,,,,,駄目だよ、蛙だって可哀想だし続けているとまた酷い目にあうよ」
 
あたいを注意しているの緑色の髪の妖精は大妖精であたいのお姉さん的存在だ。
酷い目と言うのがあたいにはあまり覚えていなかったが、何故か背筋にゾクッとするものを感じた。
しかし私は少し強がって。
 
「あたいは最強だから、誰も私に酷い目になんてあわせる事なんてできないわ
 今日だって9匹凍らせてやったんだから」
 
と自慢げにあたいは言うと、何故か大妖精は溜め息をついた。
あたいにはその理由が良く分からなかったが、
大妖精が去ると私は再び蛙を凍らせ始める事にした。
 
 
その日の午後の事。
守矢神社を出て散歩をしていた。
たまに気分が良いと私、洩矢 諏訪子は本殿から出て散歩をする事がある。
ここは湖の近くの森である。
湖を思い出すと私は同時にある妖精が頭に浮かんでくる。
チルノと言う氷精だ。
悪戯好きで多少いや、相当頭の弱い妖精である。
そんな事を考えていると硬いものがつま先に当たる。
少しだけひんやりして、不思議に思い下を向くと氷の塊が転がっていた。
私はもしやと思い氷をよく見ると中に蛙がいる事が分かった。
 
これを見て私はチルノ以外の誰でもないと思い。
お仕置きをしに湖に行く事にした。
 
 
 
湖は大きく、水は透き通っていた。
私はとりあえず周辺の妖精から情報を集める事にした。
とりあえず近くに緑色の髪の妖精がいるので話かけると。
 
「ねぇ、この湖にチルノって妖精いるでしょう。
 あいつが何処にいるか知らない?」
 
と聞くと少し吃驚して、おどおどした口調でこう言った。
 
「え...あの...チルノちゃんですか?
 その私は知りません」
 
「本当に?ちゃん付けするぐらいだから、親しそうだし
 見当ぐらいはつくんじゃないの?」
 
「え~と、その.......チルノちゃんは何時も気まぐれだし」
 
と妖精が言った瞬間、少し遠くから声が聞こえてきた。
 
「だいちゃん~、今日も凄い数の蛙を凍らせてやったわ!!」
 
そして私に近づくと。
反射的に「げっ!」と言う声を上げた。
恐らく何故この前酷い目にあったか覚えていなくても、
酷い目にあった事、酷い目にあわせた相手は覚えているのだろう。
緑色の髪の妖精はチルノの運命を悟っている顔だった。
 
「蛙を凍らせるなってあれほど言ったでしょう、それともまたお仕置きして欲しいの?」
 
と言うと怖気付きながらも、こう言う。
 
「あたい最強だから、お仕置きなんて怖くないもん!」
 
この台詞、ついこの間も言っていた様な気がするが。
次こんな事したら顔も合わせられない位のお仕置きをしてしまおう。
そう心に決めた。
 
 
翌朝の事。
 
「う~酷い目にあった」
 
昨日は諏訪子に酷い目に合わされた。
最初はあたいの弾幕に驚いているかと思えば余裕でかわしきり、
そして輪みたいな物を沢山投げつけられそれをかわし続けて
ヘトヘトだった。
それにしても何であたいはこんな目にあったのだろう。
そんな事を思っていると蛙が前を飛んできた。
憂さ晴らしにあたいは蛙を凍らせる。
 
蛙は物言わぬ氷の塊になった。
あたいは面白がってどんどん蛙を凍らせる。
それを見ていただいちゃんが私にこう言う。
 
「チルノちゃんまだ懲りてないの、またあの神様にお仕置きされちゃうよ」
 
「お仕置きなんて怖くないもんあたいは最強だもん」
 
これにだいちゃんは何故かため息をついた。
こうして今日も過ぎていく。